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ガーバー(Gerber)に新しい属性が登場、CAD-CAM間コミュニケーションに変革

Ucamcoは革新的な2代目拡張ガーバーフォーマットを発表いたします。この新しいフォーマットでは非画像データ処理に明確な規格が打ち出され、広く知られている現行のガーバー画像データフォーマットと同様にシンプルで実用的、誰でも利用できます。

Ucamcoのマネージングディレクター Karel Tavernierは、「CAD/CAMの専門スタッフは、強固で安全、コスト的に有利な方法でデータを転送する必要があります。それを過去何年もの間、現行のガーバー画像フォーマットが行ってきました。自由に利用でき、シンプルで、要領を得ているフォーマットです。CADやCAMの運用規模に係わらず、誰でも使用できます。今のところ、画像を記述するもののなかで最も実用的なフォーマットで、間違いなく業界で最も多用されています。毎日世界各地で、ガーバーを使い数千にのぼるプリント基板レイヤの完全画像が安全に転送されています。」とコメントしています。

実際、CAD/CAMの技術者は、アーカイブで最も重要かつ脆弱になりがちな画像データの部分が、ガーバーでは安全で正確であるということをご存知のことと思います。とはいえ、プリント基板設計では画像が伝達できない内容もあります。つまり非画像データです。そこには、レイヤ順序や機能情報、SMDやビアパッドのようなオブジェクトの識別、画像データとともに設計者の意図をハイパフォーマンス製品へ変身させるのに役立つ大量の追加情報が含まれています。

問題は、現在、ガーバーには非画像データを転送するための規格がなく、設計者が任意で製造パートナーとのやりとりに一番最適な方法を決めている点です。設計者はもしかしたら、テキストファイルや設計図をガーバーアーカイブに添付しているかもしれませんし、CAMエンジニアに必要な情報の用意を任せているかもしれませんし、または不足する情報があれば設計者に問い合わせることになっているかもしれません。このような体制では、エラー発生は必然、時間もかかり、結果として品質や納期に影響を及ぼしかねません。ひいては、特にプロトタイプや短納期の基板ではスピードが重視されるので、注文・お客様・潜在ビジネスの減少を招きかねません。それゆえに、お客様が設計側、エンドカスタマー側、製造業者側のいずれであっても、データ品質と明晰さは、最優先であるべきです。

これが、UcamcoがGerber X2フォーマットを開発するに至った理由です。X2では、非画像データを記述する規格となる属性群を設けました。中には、むしろ画像データに付加情報を追加したものだとおっしゃる方もいるかもしれません。いずれにしても、ファイル全体または個々のグラフィックオブジェクトに適用でき、ガーバーの標準属性として下記の定義に使用できるようになります。

  • ガーバーファイル機能:トップ銅レイヤ、トップソルダーマスク他
  • 部品:シングル基板、カスタマーパネル他 
  • オブジェクト機能:SMDパッド、ビアパッド他
  • 基板プロファイル
  • ドリル許容量(Drill tolerances)
  • インピーダンス管理したトラックの位置
  • 充填ビア(Filled vias)
  • 安全性向上のMD5チェックサム

今回発表した属性は、設計から製造への基板データ転送という目的に焦点を絞り、これを満たすようにゼロから作成しました。潜在的なバグについてはさておき、不必要に複雑であたったり、“あるに越したことはない”という要素を多々集めたわけではなく、必須要素を押さえ、シンプルで、集約されています。CAMフォーマットのような属性の作成に費用はかかりません。X2はシンプルで明解です。

意図的に、属性は全ての非画像データをカバーしているわけではありません。UcamcoはX2にネットリストを盛り込んでいません。ネットリストを的確に記述できるシンプルかつ周到なIPC-356-Aというフォーマットが既にあるからです。材料情報についても、画像とはリンクせずIPC-2581を使えばそのサブセットで処理できることから、今回の属性に追加しませんでした。このようにすることでX2は、利便性、簡便性、パフォーマンスで最高レベルを誇り、試行錯誤を経て皆様に役立てていただけるフォーマットを実現しました。今回の属性が組み合わさったことで、X2は、設計者が効率的で安心の製造に必要な全データを製造パートナーと確実に共有できる、明解でシンプルな手段となりました。朗報なのは、X2であれば、新たに複雑なフォーマットを丸ごと採用するわけではありません。UcamcoのR&Dエンジニア Thomas Weyn は「描画系ソフトウェアは組込みが難しいことで有名で、デバッグとフィールドテストに延々と時間がかかってしまいます。特にプリント基板のように複雑な画像を扱うならなおさらです。エラー検出が困難を極め、結果としてやむを得ず廃棄品を増やすことになります。このようなことから、ガーバー画像フォーマットをメンテナンスし、支障を取り除き、また不足部分を補う方向でサポートしていくほうが、はるかに賢明な選択と考えます。」とコメントしています。

X2の最も重要な設計目標は、取り入れやすく、実行しやすいことです。X2を活用して大幅な生産性アップを図るには、CADやCAMソフトウェアのマイナーアップデートが唯一必要です。描画モデルを変更しない場合は、ガーバーファイルを記述する際に、新たに数行の属性行を追加する作業が必要になるだけで、いたって簡単に済みます。X2の効果は、装置メーカー様に、より多くの種類の製品や競争力の増強を可能にします。属性の使用は強制ではありません。従って、全てでも、部分的にでも使用することができますし、まったく使用しないという選択もできます。いずれにしても、お客様の状況にベストマッチして実行することができます。最も重要なのは、アップデートしていない装置でも、X2は旧バージョンと上位互換性があることから、正しい画像を生成することができます。その際、画像は属性に影響されません。X2の導入で既存のワークフローに支障をきたすということはありません。

Eurocircuits社、LPKF社、AT&S社のサポートのもと開発を行い、現在、草案ですが新しい仕様書を www.ucamco.com にてご覧いただけます。最終版のリリースまで、Ucamcoとしては、CAD・CAM専門の方々にご覧いただき、特にセクション5「Attributes」(属性)に関する内容について、gerber@ucamco.com にてご意見を受け付けており、微調整に役立たせて頂ければ幸いです。

ガーバー属性の詳細: Extending the Gerber Format with Attributes